チンゲン菜実証栽培試験結果

                                             東京農業大学 応用生物化学科 生物応用化学科
                                          教授 前田良之 農学博士
 

  実施年度:平成14年
   【試験目的】
      □窒素の無機化試験
       □植物生育調査
       □収穫物中の化学成分組成の調査
       □土壌状態の調査
 

   *植物体中の生理活性物質の検査項目
      ■可食部グルコース含有率(たんぱく質含量)
      ■L−アスコルビン酸含有率(光合成能力)
      ■可食部フルクトース含有率(クロロフィル含量)
      ■硝酸態窒素含有率
      ■カルシウム含有率
      ■カリ含有率
      ■マグネシウム含有率
      ■TTC活性の結果(根部活性)
      ■クロロフィル含有率
   
    *収量 乾物収量 新鮮物重量


*** 要 旨 ***


   ≪材料および方法≫
    化成肥料(10−13−12)および有機質肥料(7−7−4)を用いて、化成区(化成肥料単独施肥区)、化成+有機区(化成肥料および有機質肥料混合施用区)、化成+バクタモン区(化成肥料およびバクタモン混合施用区)および化成+有機+バクタモン区(化成肥料、有機質肥料およびバクタモン混合施用区)を設定した。バクタモンは40kg/10a相当量を1/5000aポットに充填した土壌中に添加した。
    化成区の1/5000aポット辺り施用全窒素量を0.6gと決定し、試験区間の無機態窒素量を化成区に統一するため、この値に無機化試験結果を考慮した。すなわち、無機化試験2週間後の化成区、化成+有機区、化成+バクタモン区および化成+有機+バクタモン区の無機化率をそれぞれ、83,70,75および80%と読み取り、化成区を100%とした相対値、84,90および96を算出してポット辺りの肥料施用量を設定した。

   ≪結 果≫
    無機化試験の結果から肥料施用量を決定し、チンゲン菜(品種:冬賞味)の栽培試験を行った。その結果、収穫時の新鮮物重量を基礎とした生育に区間さは認められなかった。一方、乾物収量は化成区で最も低く、収穫物中の水分含有率は化成+バクタモン区で最も高く、化成+有機区、化成+バクタモン区で同様、化成区で低い値となった。収穫物のKおよびMg含有率に処理区間の差はなかったが、Ca含有率はバクタモン添加によって有意に高まった。硝酸態窒素含有率は化成区で有意に高く、次いで化成+有機区、化成+バクタモン区の潤で、化成区で最も低い値であった。グルコースおよびフルクトース含有率はいずれも化成+有機+バクタモン区で最も高く、次いで化成+有機区、化成+バクタモン区の順で、化成区で最も低かった。

   ≪まとめ≫
    本試験の結果、バクタモン添加により、チンゲン菜のCa含有率は有意に高まった。また、化成+有機区および化成+バクタモン区はいずれも化成区に比べて収量、TTC活性、L−アスコルビン酸含有率、グルコースおよびフルクトース含有率は有意に高く、硝酸態窒素含有率は低かった。これら結果は、化成肥料へのバクタモン添加が有機質施用と同等の効果を持つ事を示唆したものと考えられた。また、化成+有機+バクタモン区ではTTC活性、L−アスコルビン酸含有率、グルコースおよびフルクトース含有率は最も高く、硝酸態窒素は低く、有機質とバクタモンの添加相乗効果が示された可能性も考えられた。




図 無機化試験結果


    試験区間の無機態窒素量を化成区に統一するため、機化試験結果を考慮した。すなわち、無機化試験2週間後の化成区、化成+有機区、化成+バクタモン区および化成+有機+バクタモン区の無機化率をそれぞれ、83,70,75および80%と読み取り、化成区を100%とした相対値、84,90および96を算出して、ポットあたりの肥料施用量を設定した。

設定試験区     全窒素量(0.6g)    無機化率 無機化  施用量(g/ポット)     
 (%)  補正係数
 化成肥料  有機質肥料 →→→→→→    化成肥料 有機質肥料 
 化成区 6.00  0  83   1 6.00  0 
 化成+有機区 4.00  2.86  70  1.19  4.76  3.40 
化成+バクタモン区  6.00  0  75  1.11  6.66  0 
化成+有機+バクタモン区  4.00  2.86  80  1.04  4.16  2.97 

                      表 設定試験区と窒素の無機化率を考慮した肥料施用量の決定


 設定処理区 PH  EC  可給態
リン酸 
NH-N   NO−N Ex.cations 
 K Na  Ca  Mg 
 (H2O)  (mS/cm) ──(mg/100g dry soil)──  ──(mg/100g dry soil)──    
 無肥施土壌
(供試土壌)
5.6  0.24  2.04  3.95  6.68  1.12  0.95  9.28  2.14 
化成区 
6.2  0.44  2.16 33.9  12.2  65.1  8.69  231.3  43.2 
化成+有機区 
6.1  0.52  2.98  34.8  12.5  89.4  7.67  292.5  76.1 
化成+バクタモン区 6.1  0.43  2.89  34.1  12.1  72.2  8.03  260.3  55.1 
化成+有機+
バクタモン区 
6.1  0.53  3.03  35.1  12.1  87.3  8.11  320.5  73.1 

 ※化成区にバクタモン添加することで可給態リン酸、交換性カチオンが高まった。
 ※無機態窒素量は処理区間で同様であった。

                                表 土壌の成分組成

   
 有機質肥料やバクタモン添加によってグルコース含有率は高まった。
 注目すべき点は、化成区にバクタモン添加することで含有率が増加した結果である。





 
  硝酸態窒素とは逆に、有機質肥料やバクタモン添加によって
  L−アスコルビン酸含有率は高まった。
  注目すべき点は、化成区バクタモン添加するすることで含有率が
  増加した事、有機質肥料とバクタモンお併用添加がL−アスコルビン酸
  含有率増加に対して、さらに効果的であることである。