有用微生物「バクタモン」の利用体験
専業農家として就農4年目。父母が就農できなくなったため、東京で勤めていた会社を退職して、父母が営んでいた水田140a、野菜40a、合計約180aを引き継いで営農しています。
徳島の新農業研究会に参画しており、安全で安心で美味しい農産物を作りたいと想うメンバーとともに研究しています。
「農業をするなら有機栽培で」と当初から決めていたので、有機肥料を使用する方法と、有用菌を使用した堆肥を考えました。
しかし、有用菌を使用した堆肥を主にして、補完として有機肥料を利用することを基本方針にしました。有用菌は、当初いくつか試してみました。
その中で「バクタモンが一番私の圃場に合っている」と判断し、その後バクタモンを継続して利用し、完熟堆肥の精製と表層発酵施肥を作っています。
完熟堆肥精製は、堆肥層の中にバクタモンと有機物(米糠、エリンギ排菌床粉砕発酵物、サトウキビとパイナップルの絞り粕)を配合したものに、希釈した糖蜜を加えて発酵させると、発酵温度が60~65℃。1週間毎に天地返しをして、3ヵ月程で常温に戻り、完熟堆肥になります。
これを主に元肥として使用しています。
表層発酵堆肥は、畝の上にバクタモンと有機物を配合したものを散布し、糖蜜を希釈したものを散布してマルチ掛けし、畝の上で発酵させる方法です。バクタモンの発酵により、次々と有機物を分解し、養分に変換していくため、追肥が必要ない効率的な方法です。
バクタモンの発酵により、養分は畝の上部にできていくので、ジャガイモなどは上部に芋ができるので、収穫もしやすくなります。
表層発酵堆肥は、マルチ掛けで栽培できるものには、ほとんど対応できるため、私の圃場では、玉ねぎ、じゃがいも、トマト、なす、きゅうり、ピーマン、すいか、枝豆、キャベツ、白菜、ブロッコリー、カリフラワーなどなど…を栽培しています。
収穫後の成分分析をしてみると、一般野菜の平均値に比べて、格段に硝酸態窒素が少なく、糖度、ビタミンC、抗酸化力が上回っていて、えぐみが少なく、食味も良い、美味しい野菜に仕上がっています。
バクタモンは野菜だけでなく、稲作にも使用しています。
稲作圃場にバクタモンを60㍑/10a施肥しておくと、菌が圃場の中の稲わら、籾殻、有機物を分解しており、稲の養分を生成してくれます。このため菌の活動によって、田んぼの水は常に濁った状態。
また稲の収穫1ヶ月前、バクタモン液肥を希釈して、稲の葉面散布をすれば窒素分が減少し、食味値が向上することも解かってきました。米の食味値は参考値ながら90ポイント前後の出来栄えとなっています。
バクタモンの活用は、有機栽培において、安全、安心で、高品質の農産物を生産するために、必要不可欠なものであり、今後もさらに活用方法を研究しながら、さらに品質の良い農産物生産に向けて努力してきます。
玉ねぎの表層施肥栽培
徳島県の中山間地で、古代から脈々と受け継がれている、カヤをつかった刈式農法に出会いました。これは自然のカヤの菌を利用した自然循環型の農法で、無駄なく自然と環境にやさしく、そこで収穫さらた農産物はとても美味しく仕上がっています。
カヤには、優良菌が生息しており、カヤを刈取り、円錐状に立てかけて(地元では「コエグロ」と呼ぶ)数か月発酵させると、優良菌が増殖してカヤを分解し、アミノ酸やセルロースなど天然の肥料を生成してくれています。中山間地では、これを圃場に敷いて肥料として活用し、品質の高い農産物を生産しています。
私の圃場は平野部で、カヤの群生地や萱場がないため、この農法をヒントに、平野部でも同様のものが出来ないかと考えました。新農業研究会の中に、古代刈式農法を基に、表層発酵堆肥を研究している米崎広行氏がおられたので、堆肥づくりから施肥方法まで教えていただき、現在は農産物の殆どがこの農法を実践しています。中でも玉ねぎ栽培で効果が出ています。
私の堆肥づくりは2通りあって、
①堆肥層にバクタモンと有機物、糖蜜を仕込み発酵させて、天地返しをして作る方法。
(主に元肥として使用)
②圃場の畝の上にバクタモンと有機物(米糠、サトウキビの絞り粕等)を混合してものを施肥して、糖蜜を希釈したものを散布し、マルチで覆い、畝の上で発酵させる方法。
(古代刈式農法をヒントにした表層施肥栽培であり、カヤの菌をバクタモンに、カヤの代わりに有機物で、繊維質の多いサトウキビの絞り粕や米糠を使用して代用しました。)
玉ねぎ作りは、表層発酵施肥農法で毎年栽培しているが、同じ圃場で連絡しても障害はなく、品質の良い玉ねぎが毎年できています。玉ねぎは、肉厚で大玉(500g~1kg)で、糖度が高くエグミがない仕上がりになっています。東京デリカフーズ(株)で行っている、野菜の成分分析で調べたところ、一般の玉ねぎの平均値に比べて、糖度、ビタミンCおよび抗酸化力は高く、その反面、硝酸イオンは極端に低い値となり、玉ねぎ作りで3年で、こんなに高品質なものができるとはと、作った本人が一番驚いております。
良い玉ねぎができた理由として考えられるのが、慣行農業と違い、化成肥料および農薬は使用しないので、有用菌であるバクタモンが活発に活動し、増殖発酵した結果、配合した有機物を分解し、アミノ酸、ビタミン、セルロースなどを生成し、玉ねぎの根っこに供給する。さらに、バクタモンの活動により、圃場の土が団粒化してホカホカの圃場となって、酸素と水分を吸収しやすくなったことに加えて、化学肥料のように窒素濃度が高くなく、結果として硝酸態窒素が少なくエグミのない美味しい玉ねぎが出来たものと考えます。
玉ねぎ栽培を始めて5年。毎年質の良い玉ねぎが収穫出来ているので、今後も表層発酵施肥農法を続けて、安全で安心で、美味しい玉ねぎを希望するお客様のために、これからも生産し続けていきたいと考えております。
2017年11月 執筆:坂東明文
新農業研究会とは…
元徳島県農業大学校・副校長 野田靖之氏を中心として、「いつでも どこでも だれとでも」をスローガンに、多様な分野の人達と始めた自主研究グループ。
農業は総合産業であるから、あらゆるジャンルの方々の知恵、技術を相互に教えあい、奉仕の精神 give and give で活動し、情報公開することを原則として始まった研究会である。
在野の研究者と生産者が、互いにディスカッションを交わしながら、古くから民間で実践され、評価の高い農法を科学に研究し、より実践的な技術を構築するための勉強会を定期的に開いている。
・バクタモン(農作物全般用) ・BMエルド (畜産用混合飼料) ・発酵名人 (堆肥化・発酵菌) ・バクタモングリーン (ゴルフ場等・芝生育成用) ・BMスーパーサンド (家庭用・芝生育成用) ・バクタモン750Gシリーズ
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